コラム

未読者、挫折者へ送る『ネギま!のススメ』

(2005/07/14)

これまでコラムでは、展開予想であるとか内容に関する考察をしてきましたが、今回はちょっと異なったアプローチでネギまについて語ってみようと思います。
タイトルは『ネギま!のススメ』。といっても小難しいことは何も無く、「ネギま!」を読んだことの無い人に読むように薦めて(笑)、読み進める上でのちょっとしたポイントを提言するといった感じの軽い内容ですので、そう構えずにお読みください。

・「ネギま!」とはどんな漫画なのか

内容に入る前に、ちょっと「ネギま!」についておさらいをしておきましょう。そんなことしなくても「ネギま!」はよく知ってるよという方は読み飛ばして頂いて構いません。

「魔法先生ネギま!」は2003年2月に週刊少年マガジン誌上で連載開始。現在(2005年7月14日)までに連載101話を数え、単行本は10巻まで刊行されています。
作者は赤松健、人呼んで「萌えの重鎮」(笑)。代表作は「ラブひな」「AIが止まらない!」。
「ネギま!」は2005年アニメ化され(6月終了)、なにかと話題の作品となったのは記憶に新しいところです。関連して主題歌CDのセールスの好調さも注目され、オリコン1位を目指す運動が起こったりと、従来のファン以外の層にもその存在が認知されたのではないかと思われます。

実は以前にも「声のクラスメイトシリーズ」と題されたキャラクター・イメージソングCDが発売されており、こちらのセールスも(その時点ではアニメ化もしていない作品であるにも関わらず)オリコンでトップ10に入るなど好調であったことを考えると、作品自体の人気のほどが想像できると思います。

簡単なあらすじとしては、「10歳の少年ネギが魔法使いの修行のために日本で学校の先生になり、31人のヒロイン(女生徒)たちとドタバタラブコメディを繰り広げる」というもの。主人公が10歳の少年であるという点と、ヒロインが31人とかなり多いという点が特徴として挙げられますでしょうか。(このヒロインという呼び方には少々引っかかるものがありますが、それはまた別の話…)

・「ネギま!」の何が受けているのか?

オリコンのチャートくらいでしか「ネギま!」に接したことのない人にとっては、おそらく「なんでこんなに売れてるんだろう?」と不思議に思うのではないかと思います。
また、私の個人的観測ですが、ここのところネットの個人ニュースサイトなどにおいて「ネギま!」の話題を取り上げるサイトが増えている気がします(特にアニメ化後から顕著)。

何故、「ネギま!」のCDが売れているのか?
何故、今「ネギま!」なのか?

スターチャイルドの戦略(価格や内容、特典等)や、声優人気など、要因はいろいろあれど、根底にあるのは原作である漫画「ネギま!」の人気の高さであると思われます。
アニメ化が(良くも悪くも)知名度を高める効果を発揮して、原作に入り込むきっかけとなり、結果的に、アニメ版と比較されることになった原作の評価が高まったと見ることが出来るのではないでしょうか。
アニメ化前に発売された「声のクラスメイトシリーズ」のランクが10位前後だったのに対し、「ハッピー☆マテリアル」がコンスタントに一桁順位を出していることにも注目です。「原作単体でオリコン10位を取れる力があった作品が、アニメ化によって多くの注目を浴びるようになり、さらに化けた」と見ることが出来ます。
いろいろと失敗だったと言われるこのアニメ化ですが、悪いことばかりだったわけではなかった気がします。(ここでアニメの内容が素晴らしいものであったなら、さらに凄いことになった可能性もないこともないですが…)

では、「ネギま!」は何故それほどの人気を得ているのでしょう?
それはぶっちゃけてしまえば、原作の面白さに他なりません。
アニメを見て、CDのランクを見て、ちょっとでも気になったなら是非手にとって読んでみて欲しいと思います。

さて、前置きはこのくらいにして、その“原作の面白さ”のほんのさわりの部分を、以下にちょろっと書いていきたいと思います。

・読み始めのアドバイス

では、これから「ネギま!」を読み始めようとしている人に向けたちょっとしたアドバイスをご紹介します。

まず一つ目。当たり前ですが、きちんと1巻から読み始めるようにしましょう!
私は自慢ではないですが、5巻から読み始めた邪道です。読み始めた当初、いきなり暴れまわる生徒たちにまったく着いていけず、ちょっと挫折しそうになりました(理由は5巻の初めの方を読んでもらえば分かるはず)。「ネギま!」はストーリーの構成、キャラクターの登場のさせ方、その時期といったところを深く考えられた上で描かれています。よほどの理由がない限り、中途半端な巻で読み始めることは止めたほうが無難です。(しかし5巻から読み始めたからこそ、このサイトがこうなったという説もあり(笑) 意味のわからない人は5巻の最初のページ、最初の吹き出しを読んでみようw)

そして二つ目。いきなり全員覚える必要はありません。
1時間目(第1話)の途中で生徒名簿が登場します。ヒロインが31人というのがウリの一つとして始まった「ネギま!」の、キモの部分であると言えるところですが、はっきり言って初見で全員見分けられるようにはなりません。後述しますが、読み進めるうちに覚えていけば良いことです。無理をして覚える必要はありません。ただ、一人や二人、気に入った娘が見つかったならば、密かに頭の隅っこのほうにチェックしておくと、後々楽しめるようになるかもしれません。

最後三つ目。変な先入観は捨ててから読むようにしましょう。
赤松健というと、「ラブひな」のイメージが強いと思います。というか、自分はそうでした。
私が「ネギま!」を手に取ったきっかけは「適度にエッチなラブコメが読みたい」という、なんともまぁな理由でして、まんま「ラブひな」のようなものを期待していました。その期待には、ある意味で応えてくれて、また良い意味で裏切られたことで、自分は今こうしてネギま!サイトなんてものをやってたりする訳ですが。私が言いたいことはその逆のパターンで、「どうせエッチラブコメだろ」と食わず嫌いして読もうとしなかったり、偏見を持った読み方はして欲しくない、ということです。もちろんそういった要素も含んではいますが、少年漫画として“読める”部分を持った漫画であるということを、実際に読むことで感じてもらえればと思います。

・「ネギま!」の魅力

では「ネギま!」には具体的にどんな魅力があるのか?その点をさらっと書いていきましょう。

「多人数ものの面白さ - 読み返す楽しみ」
ネギま!の特徴としてあげた「31人のヒロイン」という点。作者本人は没個性化やカタログ化などと言っていますが、簡単に言えば多人数ものです。(そんな分類があるかどうかは知らないけど)
最初は誰が誰だか区別もつかないけれど、なんか大勢でわいわいやってるのを見てると楽しい。そのうち、なにかしらのきっかけで特定のキャラクターに目が行くようになり、自分の中で注目する存在になる。(自分内でのレギュラー化)
次第にそのキャラクターに関して分かり始めると共に、そのキャラクターの周りに頻繁に登場するキャラクターについても同じことが起こっていく。基本的にはこのパターンが各所で発生して、それぞれで広がっていくことで、やがてグループ全員(31人)について理解できるようになっていく。
面白いのは、「ネギま!」はその都度(新しいキャラクターを理解できるようになる度に)、最初から読み返すことによって、何かしら新しい発見があるという点です。キャラクターたちは連載開始前に細かい設定が決められており、一貫した行動を取るようになっているため、作品全体に関して違和感がないだけでなく、最初になんとなく読み飛ばしていたり気がつかなかったりした部分を、再発見できる楽しみが存在します。
未だに読み返していると、気づいてなかった細かな描写があったりして、ついクスっとしてしまうのです。本当に。

「ネギま!」という作品は、31人のヒロインということで、強引に言えば“31回読み返せる漫画”であると言えるかも知れません。(実際には何人かまとめて理解してから読み返すことになると思うけれど…)
連載が始まった当初は無謀なことだと思われた31人のヒロインですが、しっかり作品の魅力として機能しているのは流石というほかありません。

「ネギま!」を読むのを挫折してしまった人については、とにかく一度、誰か一人に注目して読んでみて欲しいと思います。きっとなにか新しいことが見えてくるはず。連載も100話を超えて、31人それぞれが没個性の中から抜け出して、個性的なキャラクターとして成長してきていますので、大抵誰を選んでも大丈夫なはずです。(さすがにザジなんかではまだ厳しいかもしれないけど…)
そして、自分の中で贔屓のキャラクターができればしめたもの。そのキャラクターの一挙手一投足に一喜一憂するという楽しみが新たに加わります。

また、「ネギま!」はマガジン誌上において不定期に人気投票が行われており、その結果によってキャラクターの登場頻度が変化するという、ちょっとした双方向性を備えています。お気に入りのキャラに投票して出番が増えるのを期待するもよし、出番の少ない娘に救いの手を差し伸べるもよし。そういった連載漫画としては一風変わった楽しみ方もできるよということを参考までに記しておきます。(まぁ先のストーリーが変わってしまうほどの影響力はないということですが…)

「考察、深読みの面白さ - 考える楽しみ」
「ネギま!」という作品において赤松氏がよく使う表現として、「ギチギチに詰まった」というものがあります。
多人数ものゆえの、コマ内に入る人数のことであったり、萌えポイントの数であったりするのですが、総じて画面全体においての情報量の多さを指す表現として使われます。この情報量が多いということが、読み返した時に新たな発見があるということにも直接関わってくるのですが(つまりは、一回流し読みしただけでは捉えきれないくらいの情報量であるということ)、もっと短絡的に考えて、伏線や隠し要素といった類のものが豊富に登場する作品であると言うことができます。

「ネギま!」は、前述のようにキャラクターの行動が一貫しているという条件にあることから、これら与えられる情報を元にいろいろと考察や深読みができる漫画なのです。ある程度キャラクターに関して理解できてきたら、こうした予想であるとか、想像をする楽しみ方が出来るようになります。
うちのサイトでこれまで書いてきた妄想まがいのコラムなんかは、そうした楽しみの副産物とでも言いましょうか、「せっかく考えたんだから、人に言いたい」という自分勝手な欲求から発表されています(笑)。いつもお付き合いいただきありがとうございます^^;

でもまぁ正直なところ、こういったことは、謎を解いたり考えたりするのが好きな人だけやればいいんですが。
単にキャラクターを追っかけるだけでも十分楽しめる作品であることは確かなので、あまり深いこと考えずに読みたい人には無理にオススメしません。キャラ萌え漫画としても楽しめる、アツイ少年漫画としても楽しめる。そして、自分みたいなエヴァ(ンジェリンではなく、ンゲリオンの方)からこの道に入った、伏線大好き人間が予想遊びをするのにも楽しめる。そうした読み手の対応の仕方に幅を持たせてあるところも、この作品の魅力の一つであると言えるかもしれません。

・まとめ

ということで、『ネギま!のススメ』と題して、未読者に向けて「ネギま!」の魅力を紹介してきた訳ですが、ぶっちゃけここに来る人で「ネギま!」を読んだこと無い人なんているのだろうか?(笑) まぁいいや。

「ネギま!」の楽しみ方、他にもまだまだあると思います。それこそ読む人の数だけ楽しみ方がある、と言って差し支えないのではないかと。
自分もそうであるように、絵を描くことで楽しむことも出来ます(ヘタの横好きって言うな^^;)。キャラクターが多いせいで、これだけ描いてもまだ描いてないキャラの方が多いのはなんとも。そのぶん、描きがいはあります。
文章書きさんは、SSでも長編でも書くことを楽しむことが出来ます。世界観がしっかりしている上に、キャラが豊富で、それぞれ個性が立っているので実にいい素材であるように思います。
本当に、いろいろと楽しませてもらえる作品である、ということを最後に言っておきたいと思います。
そして、自分で楽しみ方を見つけることも出来る作品である、ということも付け加えて、今回のコラムはお開きということで…。

(今回のコラムでは、「赤松健論」様の「少年漫画という視点から見た赤松作品の変遷 ネギま!編」と、「『魔法先生ネギま!』の読み方 」などを大いに参考にさせていただきました。 今回語った内容の多くを、理論的に的確にまとめられていますので、「ネギま!」を読んだあと考察がしたいと思った人は必読です。参考書のような存在になるのではないかと。)

次回の予定は未定です。

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